アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

アトピーの原因

遺伝的にアトピーの素因を持っている場合、環境的な要因としてハウスダストやダニ、カビ、ペットの毛、花粉、紫外線などがアレルギーの原因(アレルゲン)となって過敏症を起こします。また、環境的な要因だけでなく、空気の乾燥やストレスによってアトピー性皮膚炎が引き起こされることもあります。

アトピー性皮膚炎の決定的な要因として、先天的な皮膚の異常が問題になっています。皮脂の少なさや角質層の保湿力の低さによってバリア機能が低下しているために、乾燥しやすい皮膚になっています。アレルギーを起こしやすい物質に過敏でIgE抗体を作りやすい体質のため、その状態の皮膚に炎症を起こしやすい要因が加わることでアトピー性皮膚炎を起こします。

各種の要因が重なって皮膚に炎症が起きるのがアトピー性皮膚炎であり、それらの原因特定は難しくなっています。スクリーニングによって原因を絞り込みながら、生活環境から除外していっても原因特定に至らないこともあります。

アトピーの症状

一般的に、乳児期であれば顔面の紅潮や湿疹があります。かゆみを伴うことが多いので、自ら掻いてしまうことによって皮膚状態は悪化することになります。改善したと思えば再び悪化することがあり、それが慢性化するのも特徴です。

かゆみを伴う皮膚炎なので、皮膚状態の悪化により感染を起こす原因にもなります。皮膚上は細菌の拮抗状態というバランスが取れた状態を保つことで他の菌を寄せ付けないという細菌のバリア効果(バイオフィルムともいいます)もありますが、炎症やかゆみによって皮膚を触りすぎると表皮のバリア効果を失うだけでなく、常在菌によって自ら感染症を起こすことにもなりかねません。

痒みのひどさから皮膚を掻くなどの外的刺激によってさらに皮膚の状態を悪くしてしまうと、アレルギー症状と感染症状によって皮膚の状態は更に悪化します。一般的に30歳前後になるとアトピー体質が改善されるといわれますが、鼻炎や喘息の基礎疾患がある場合はアトピー体質も長引く傾向にあり、若い時期に白内障を発症することがあります。

アトピーの治療

皮膚が乾燥してる場合は保湿が有効で、乾燥肌向けのスキンケア用品などで皮膚を乾燥させないことが必要になります。かゆみに対しては抗ヒスタミン剤の服用、またはセチリジンなどの長時間作用型の抗アレルギー剤が有効な場合もあります。

気管支にアレルギー疾患があればロイコトリエン拮抗剤が有効で、長期間の服用によって体質改善を図る事も可能です。抗アレルギー剤の作用別の種類は多いので、試しているうちに自分に合ったものが見つかるかもしれません。

対症療法を行っているうちにアトピー体質が消えることもありますが、それは長期的に考えた場合であって根本的な治療法では、紫外線を当てる治療法や免疫抑制剤の軟膏(T細胞阻害剤)が使われる事もあります。

アトピー性皮膚炎が適応症になっている薬として、ポリペプチド抗生物質にシクスポリンがあります。Tリンパ球によって産生されるタンパクの合成を抑制して免疫力を抑制するもので、自己免疫性疾患の治療に用いられています。

アレルギー反応自体が過剰な免疫反応なので、それを抑制するという意味では、インターフェロンやメトトレキサートなども免疫細胞抑制と抗炎症作用を持つ薬剤です。