この記事をご覧の方の中に、皮膚の一部分に突然大きなこぶのようなものができた経験のある方はいらっしゃいますか。あるとしたら、それは粉瘤(アテローム)である可能性が高いといえるでしょう。今回は、その粉瘤についてご紹介したいと思います。
粉瘤とは、皮膚に隣接した皮下組織の中に老廃物がたまることで拡大する瘤(こぶ)のことで、アテロームとも呼ばれています。瘤が皮膚の下で異常に細胞が増殖した結果、中身がドロドロした悪臭を伴う泥状の物質で皮膚の下が満たされます。体のどこにでも発生する可能性があり、中でも背部や顔などに多いといわれています。皮膚の同一部位へ刺激が繰り返されることや、外傷などで皮膚の一部が内側に入り込むことなどが契機となって出現することが多くなっています。
もし、粉瘤ができてしまった場合は何をするべきでしょうか。まず、粉瘤を疑った場合は患部を必要以上に触る、潰そうとしてはいけません。
無理に潰そうとすると、ドロドロした悪臭を放つ物質が皮膚の内部から出てくることがあります。また、患部は通常痛みを伴うことはありませんが、万が一細菌感染が起こった場合は患部の腫脹、および疼痛が見られます。患部が比較的小さく、痛みなどの症状がない場合は、多くは経過観察のみ、または抗生物質の外用薬塗布でよいでしょう。
もし患部が赤く腫れた場合は、患部に細菌が付着している可能性が高いため、抗生剤の内服によって感染した状態を抑えることができます。
しかし、進行した粉瘤は摘出手術を行うほうがよいでしょう。
通常は局所麻酔での日帰り手術です。手術の方法ですが、大きく分けて2つに分かれます。一つは、患部をメスで切開・縫合する方法です。
もう一方は、へそ抜き法(くり抜き法)という比較的簡易な手法です。
手術というと、手術後の傷跡を気にする方も多くいらっしゃいます。
後者のへそ抜き法の手術では、表面皮膚の切開は最小限に、皮膚の下のアテロームのみを摘出することが可能です。
よって、皮膚の傷あとは小さく目立たなくすることができますが、完全に傷がふさがるには約2~3週間の時間がかかってしまいます。
個人差はあるものの、最終的には傷跡はざ瘡(にきび)程度の大きさにすることができます。切除手術に比べると施術時間が短いという長所がありますが、寛解までの日数は長くなります。また、足の裏の表皮嚢腫や内容物が完全に固形化しているアテロームに関しては実施できません。手術を実施するのかどうか、またどの手法を選択するのかは信頼できる皮膚科・形成外科医に判断を仰ぎましょう。
手術を実施するかどうかは、通常は患部の状態で判断します。
しかしながら、放っておくと、炎症を起こしたり、非常に大きくなったりするものもあるので、ある程度以上の大きさになったものは切除したほうがよいでしょう。
患部が拡大している症例などは入院して治療する場合もあります。非常にまれな例ですが、この病気から皮膚がんが発生することがあり、今まで長い間同じ大きさで経過していたものが急に大きくなったときなどに注意が必要です。摘出の他に手術が必要となるのは、ほかの腫瘍性疾患との鑑別のため顕微鏡で組織を調べる場合、または不快なにおいが気になる場合、外見上目立つなど整容的に気になる場合などが挙げられます。
典型的な粉瘤は、皮膚科医による診察で診断を下します。患部があまりに大きく、ほかの腫瘍性疾患などとの鑑別のために精査が必要な場合、または中身を摘出する手術を行う場合などは、検査などの設備が整った医療機関で実施します。粉瘤を疑った場合は、まずは最寄りの皮膚科を受診し、紹介を含めて皮膚科医の判断を仰ぐことをお勧めします。
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日付: 2017年12月26日 カテゴリ:皮膚科