本日は足白癬についてのお話です。俗にいう水虫で、足白癬というと中年男性がなる病気と思われるかもしれません。しかし、誰でも罹患する可能性のある疾患の一つで、最近では若い女性の罹患者も増えています。また、足以外の部位が白癬になることも十分に考えられます。
足白癬は、白癬菌という菌がヒトの足に寄生することで症状が出現する真菌感染症の一種です。主な症状は、趾間の掻痒や皮膚剥離、びらん、小水疱の形成などがあげられます。また、白癬は発症する部位によりいくつかの種類に分類されます。たとえば、体幹などに寄生したものは体部白癬、手に出現したものは手白癬、といった具合です。いずれも、主訴は広範囲に渡る紅斑、痂皮化や小水疱の形成などです。
足白癬の次に罹患者が多いと言われるのが、爪の白癬です。爪白癬の場合は、爪の肥厚、変色などが挙げられます。皮膚の白癬と比べて寛解までに時間を要します。爪白癬の診断は、爪の一部を切り取って検査をし、陽性だった場合は外用薬が処方されます。爪白癬を疑った場合は、まずは皮膚科を受診しましょう。
また、カンジダも真菌感染症の一つです。普段は人間の口腔や消化管などに生息している菌が、免疫が低下した際や抗生物質の内服時などに増殖し、皮膚病変を生じさせてしまうことで病変を形成する疾患です。
もし足白癬と診断された場合、具体的にどのような対処をすればよいのでしょうか。まずやるべきことは、足を清潔に保つことです。帰宅後には足を洗うことはもちろんですが、指や爪の間なども念入りに洗いましょう。そして、入浴後などの清潔な足に抗真菌剤を両足に1日1回しっかりと塗り込みます。治療をしている間は、他の人にうつることはありません。また、外出時には革靴を避けて通気性の良い靴を履く、室内ではサンダルに履き替える、といったように履物を工夫することも一つの方法です。同じ靴を続けて履くことは避けましょう。また、治療中はマットやスリッパなどを他の人と共有しないようにしましょう。
一般的な白癬の治療期間は数か月、爪白癬は数年といわれています。皮膚病変が改善しても、白癬菌は足に潜んでいる可能性があります。そのため、外用薬を中止するべきかどうかは自身で判断せずに、必ず皮膚科医に確認しましょう。
白癬の治療に、内服薬はないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。外用薬で効果が見られない場合には、抗真菌薬の内服治療を開始することもあります。しかし、内服は全身的な影響が出てしまうこと、また副作用が懸念されることから、治療に関してはかかりつけの皮膚科医とよく相談した上で決めましょう。
また、すでに白癬の治療を始めている方の場合は、たとえ検査をしても陰性に出てしまうことがあるため注意が必要です。皮膚科を受診される際は、皮膚科医に白癬の治療中である旨を必ずお伝えください。
白癬は、ステロイド剤を塗布することで症状が増強すると言われています。しかし、実際はそこまで著しく症状が増悪するわけではありません。カンジダでは、ステロイド剤と抗真菌剤を併用することもあります。
ただし、ステロイド剤や抗真菌薬(白癬の薬)を併用してしまうと、効果があった薬剤とそうでないものの判別が困難になり、診察した際に症状の経過が分かりづらくなってしまいます。もし白癬で悩まれている場合は、同じ皮膚科を継続的に受診することが必要です。
皮膚科はドクターショッピングされる方が多い診療科だと言われています。しかしながら、同じ皮膚科で定期的に経過観察することで、ご自身に合う治療を選択することができます。そのためには、通いやすい医院を選択することも大事です。目黒近辺で皮膚科をお探しの方は、アトレ目黒内にある「あいおいクリニック目黒医院皮膚科」をご利用下さい。
日付: 2017年10月25日 カテゴリ:皮膚科