みなさんは、虫刺されができたことはありますよね。本日は、皮膚病変の中でも非常に身近な、虫刺症(虫刺され)についてご紹介いたします。
虫刺症は、蚊などに刺された部位に掻痒(かゆみ)の強い発疹(赤いブツブツ)が生じる状態をいいます。ただ実際には、蚊やノミ以外にも様々な虫がヒトを刺しただけではなく、咬みついたりすることによって皮膚に生じる病変も虫刺症に含まれます。そのため、虫刺症の定義は幅広いといえるでしょう。虫さされによって生じる皮膚症状には、大きく分けると痛み(疼痛)とかゆみ(掻痒)の2種類があります。
まずは虫刺症による痛みです。この痛みには、虫が皮膚を刺したり咬んだりすることによって生じる物理的な痛みと、皮膚に注入される物質の化学的刺激による痛みがあります。
かゆみは、虫から皮膚に注入された物質(毒成分など)に対するアレルギ-反応によって生じます。そして、アレルギー反応には主に即時型反応と遅延型反応があります。即時型反応は、虫の刺咬を受けた直後からかゆみ、発赤などが出現するものの、その後数時間で軽快する反応です。一方、遅延型反応は、虫の刺咬を受けた数日後に発赤、水疱などが出現し、数日~1週間で軽快する、という反応です。これらの反応は、虫に刺された頻度やその人の体質によって症状の現われ方に個人差が大きいのが特徴です。
皮膚炎を引き起こす原因となる主な虫としては蚊、ノミやハチ、ケムシなどの昆虫類、そしてダニ、クモ、ムカデなどの昆虫以外の動物が挙げられます。これらのうち、吸血する虫としては蚊、ブユ、アブ、ノミなど、刺す虫としてはハチ、咬む虫としてはクモ、ムカデが代表的で、触れることで皮膚病変を引きおこす虫としては有毒のケムシが挙げられます。
虫刺症の中でも、気を付けなければいけないのがマダニ類です。マダニといっても、一般的な家ダニとは違い、体長ははるかに大きく主に山野に生息しているものです。このマダニによる重篤な疾患に、ツツガムシ病とライム病があります。ツツガムシ病は、アカツツガムシが媒介する疾患で、戦前の日本では夏に発生する風土病として恐れられていました。近年では北海道を除く本州全域でみられることがあります。ライム病はマダニにより媒介される菌が原因となって発症する、極めて多様な病態を示す人畜共通の感染症です。欧米では起因するマダニが都市部に生息することから、年間十数万人の患者が発生し重大な社会問題となっています。ツツガムシ病やライム病に罹患した場合は、入院・点滴などの専門的な治療が必要になりますので、早めに皮膚科を受診し適切な医療機関への紹介を受けましょう。
それでは、もし虫に刺された場合は何をすべきでしょうか。軽症であれば市販のかゆみ止めの外用薬や貼付剤でもよいでしょう。ただ、掻痒や発赤が強い場合は、ステロイド外用薬を塗布した方が軽快しやすい傾向があります。中でも、就寝が困難なほど強い掻痒が生じる場合は、外用薬に加えて抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬を処方します。なぜなら、掻くことで症状が増強するため、まずは掻痒を取り除く必要があるためです。ステロイド外用剤や抗ヒスタミン剤は処方薬ですので、処方を希望する場合は皮膚科を受診しましょう。
いかがでしたか。ひとくちに虫刺症といっても、蚊からマダニまで数多くの種類があります。さらに、その後の経過も刺した虫の種類によっては改善がみられない場合や掻痒が持続する場合などや、慢性的な経過をたどる場合もあります。目黒近辺で皮膚科をお探しの方、または虫刺されを疑っている方、皮膚疾患でお悩みの方はあいおいクリニック皮膚科アトレへお越しください。
日付: 2017年11月27日 カテゴリ:未分類