美白治療

今回は、しみ(肝斑)、くすみ等、紫外線によって生じる皮膚病変および美白治療について説明します。やっと暑い夏も終わりましたが、みなさんは紫外線対策を実施されましたか。

光には、体内時計の調節など人間生活で役立つ効能も多くあります。
しかしながら、繰り返し紫外線を浴びることがしみやしわ、場合によっては癌の原因となることも分かっています。現在では、小児のうちから日焼け止めを使用することが推奨されるようになりました。

美白や肝斑の前に、まずは紫外線が皮膚に変異をもたらすメカニズムについて簡単にお伝えします。
肌に紫外線が当たると、まずは日光皮膚炎が起こります。
これは、日光に当たった部位がひりひりとする症状で、いわゆる日焼けです。
UBVにより皮膚の表皮細胞が一部破壊されたために生じ、数日後に皮膚剥離、水泡が生じることもあります。
さらに、日焼けによってUBVやUBAを浴びた後、色素細胞が活性化し、メラニン色素を発生させます。そのために色素沈着が生じ、肌の色が黒くなってしまいます。
UVAはUBVと比較して、皮膚の深層まで到達するため、後の色素沈着を引き起こします。このように、紫外線を浴び続けることによって皮膚が破壊されると、後のしわやたるみの原因になります。

それでは、肝斑、炎症後色素沈着、くすみ、くまなどをはじめとする紫外線が原因の皮膚病変を防ぐためには何をするべきでしょうか。
まずは日焼け止めを使用することが第一です。
自分の皮膚に合ったもの、使用感が良く嗜好に合うものを選択し、頻繁に塗りなおすことも必要です。
日傘や帽子等での遮光も効果的だといえます。
また、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール等を摂取することもよいでしょう。

上記疾患の主な治療法ですが、内服薬や外用薬、光治療など様々な種類があります。
ただし、保険診療の対象外のものもありますので、お気を付けください。
内服薬として、ビタミンCが基剤のアスコルビン酸は肝斑や雀卵斑に、トラネキサム酸は炎症後の色素沈着にそれぞれ保険適用が通っています。
ただ、副作用も懸念されることや、また既往によっては内服ができない場合もあります。
そのため、処方を希望する際はお薬手帳を持参して皮膚科医の判断を仰ぐことをお勧めします。
また、加齢や長年にわたる紫外線の蓄積で起きた老人性色素斑等には、レーザーによる光治療が効果的だと言われています。

肝斑に用いる主な外用薬には、ハイドロキノン、レチノイン酸(トレチノイン)等があります。多くは自費診療の対象です。
レチノインとは表皮メラニンを排出する作用があるため、色素沈着に対して効果があるとうたわれています。
また、ハイドロキノンには新しいメラニン再生を抑制する作用があるため、両者を併用して用いることで薬剤の浸透性を高める効果があるといえるでしょう。
ハイドロキノンが含有された化粧品は医療機関で自費購入できる場合もあるため、最寄りの皮膚科へ確認して下さい。

一言で美白といいますが、美白治療には色素性病変を改善するもの、皮膚の色を明るくするもの、肌の透明度を上げるなどいくつかの目的に分類されます。
その目的に応じて外用薬、内用薬、ピーリング、レーザーなどいくつかの種類があります。さらに最近では、美白をうたう化粧品が数多く販売されています。
ただ、保険診療内での治療には限りがあるため、望み通りの治療を望む方は自由診療である美容皮膚科を受診することも一つの方法だといえるかもしれません。

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