性感染症2

今回も、前回に引き続き性感染症(別名STD、STI)についてご紹介したいと思います。
前回では紹介し切れなかった梅毒、ヘルペス、トリコモナス、毛じらみ、B型・C型肝炎について解説します。

〇梅毒
梅毒トレポネーマ・パリダム(TP)という病原体によって感染します。皮膚や粘膜にある小さい傷から感染し、やがて内臓や中枢神経などの全身器官が侵されてしまう病気です。女性が罹患すると、接触後の2~3週間で陰部に固いしこりが発生します。その後、鼠径リンパ節に腫脹が見られた後自然に消失します。男性の場合は、しこりは包皮や陰茎などに発生し、表面が破れびらんや潰瘍になります。その後、大腿部のリンパ節炎に移行するものの、疼痛はありません。しこりを放置すると寛解までに時間を要します。抗体が完全に低下するまでは定期的な診察や検査を続けることが必要です。

〇(性器)ヘルペス
単純ヘルペスウイルスを病原とする性感染症です。感染後3~7日の潜伏期を経た後に外陰部に水疱が数個出現します。多くは1か月以内に治癒しますが、治癒後も月経・性交その他の刺激が誘因となって再発を繰り返すこともあります。完治してもウイルスは体に残り、ストレス等により抵抗力が弱くなった際をねらって再発します。

〇トリコモナス
男女共に自覚症状が出ないこともあり、いつ感染したか分からない事が多い疾患といわれています。トリコモナス原虫が原因で罹患します。膣だけではなく子宮頸部、下部尿路、前立腺などにも侵入します。男性に比べて、特に女性で症状が強いといわれています。再発を繰り返す場合も多くなっています。
男性の場合、トリコモナス原虫は尿道・陰茎包皮・前立腺・精巣などに寄生しますが、ほとんど自覚症状がないことが多いです。無症状でも尿道の分泌物や炎症が非感染者に比べて多く、感染後の潜伏期間も長いといわれています。
トリコモナス感染を有する男性には前立腺炎を有することが多いです。
さらに、自覚症状がなくてもパートナーが感染していれば本人も治療する必要があります。また、女性は男性に比べトリコモナス感染症の症状は非常に多様です。約50%は自覚症状がない場合もありますが、症状が進行するとおりものに血が混じる場合もあります。

主訴は、泡状の悪臭の強い黄色いおりものの増加と、外陰・膣の刺激感、強い掻痒です。トリコモナス感染を受けた膣粘膜や発赤・びらんを有する膣部は、クラミジア感染や淋病と同様にHIV感染リスクを高めことが指摘されています。感染が判明した場合は、同時にパートナーと共に治療する必要があります。

〇毛じらみ
毛じらみとは、人間の毛に寄生しているシラミです。感染すると平均1~2ヶ月後に陰毛の痒みとして自覚することが多いです。陰毛に限らず肛門周囲・腋毛・胸毛・すね毛、さらにはまつ毛や眉毛に至るまで感染します。増強すると湿疹や細菌性の二次感染が起こりえます。ほとんどは、性行為などの陰毛の直接接触による感染です。人に寄生するシラミとして他、頭ジラミとコロモジラミがいますが、これらは性行為でうつることはありません。

〇B型・C型肝炎
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスが肝臓に感染して起こる状態のことです。免疫正常の成人の多くは一過性の感染ですが、数%に持続感染を起こします。そして、感染が持続する人の一部に肝硬変や肝癌を発症します。また、C型肝炎は主に血液を介して感染するウイルスで、接触感染よって感染し、肝臓で増殖します。慢性化すると多くの場合、肝硬変・肝癌に移行します。感染しても30~40%の人は自然治癒しますが、現在のところB型肝炎のようなワクチンで予防することはできません。

性病の場合、治癒したかどうかはご自身では判定できない場合があります。また、感染部は自分ではなかなか分からず、治療が不十分となってしまう可能性もあります。治癒したかどうかは必ず受診して確認するようにしましょう。受診に抵抗はあるかと思いますが、できる限り診断を受けていただいたほうが良いでしょう。

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