いかがお過ごしですか。熱い季節も終わり、過ごしやすい気候になりましたね。今年の夏に皮膚科に来院された患者さんの症状でとりわけ多かったものが、じんましん(じん麻疹、蕁麻疹)です。
じんましんの主な症状は、かゆみを伴う赤いぶつぶつ、掻痒を伴う皮疹が全身に出現することです。ただ、症状が出現しても持続せずに、数時間後には消えてしまうことが特徴です。
もし、蕁麻疹が出現した場合はどうしたらよいのでしょうか。まずは保冷剤や濡れタオルを当てて患部を冷しましょう。掻きむしる、また体を温めることで症状は強くなります。特に、熱い湯舟につかることが好きな人は注意が必要です。入浴時は、熱いお湯は避けてシャワーで済ませる、また、ぬるめのお湯につかるようにしましょう。さらに、圧迫したり締め付けるような衣服は避け、ゆったりとしたものを着用することで、皮膚への刺激を減らすことができます。蕁麻疹が出現しているときには、激しい運動や飲酒は控えましょう。これらは、血流を良くするため症状を増強させてしまいます。
ひとまず患部を冷やした後は、最寄りの皮膚科を受診しましょう。症状を抑えるためには、内服薬が効果的です。ステロイドなどかゆみ止めの塗り薬を使うこともありますが、痒みのある皮疹は出現と消失を繰り返すことが多く見受けられます。そのため、外用薬よりも抗ヒスタミン剤などの内服薬で全身の治療をすることが第一選択です。我慢できないほどの強い痒みが生じる場合は、注射を打って症状を抑えることもあります。
蕁麻疹の患者さんは、夏に多くいらっしゃいます。しかし、最近では季節の変わり目にかけても多く見られます。その原因は衣替えです。冬のセーターを着た後に腕に痒みが生じたなど、この時期は冬の衣服や防虫剤が皮膚への刺激となって蕁麻疹が出現した患者さんもいらっしゃいます。これからの時期にも、蕁麻疹には気を付けてくださいね。
これまで蕁麻疹について説明してきましたが、なぜ蕁麻疹が起こるのでしょうか。一番多いものは、アレルギーによる反応です。乳製品、卵、えびや甲殻類、ナッツ類やそばなど摂取した食べ物が自身の体の中で異物として認識されるために症状が出現する人が多いです。また、寒暖差で症状が現れる温度蕁麻疹、衣類との摩擦、皮膚への圧迫によるものなど、アレルギー以外にもいくつかの種類があります。
中でも、咽頭などに違和感がみられる場合は、注意が必要です。アナフィラキシーとよばれるもので、窒息、呼吸困難など死にいたることも考えられるため、こうした症状が見られた場合はすぐに救急病院を受診しましょう。
気になる蕁麻疹の原因ですが、残念ながら不明なことが多いです。主な対処法は、原因となるものを避けることです。たとえば、エビフライを食べた数時間後に蕁麻疹が現れた場合は、原因として考えられるエビを避けるといった具体的な対策をとりましょう。また、疲れがたまっている、ストレスが多いなどの健康状態によっても蕁麻疹が起こりやすくなることが分かっています。できるだけ疲れをためずに、規則正しい生活を送るように心がけましょう。
ちなみに、蕁麻疹の原因精査のためには皮膚科で血液検査をする方法があります。検査では、スギやヒノキ、イヌやネコなど、アレルゲン(アレルギーの原因になりやすい物質)の一覧が具体的に表示されます。そのため、特定の物質に対しアレルゲンが高い値だった場合、その原因物質を避けることで蕁麻疹を回避することができます。また、検査でIgEという項目を調べることで、自分がアレルギー体質なのかそうでないのかを知ることができます。
蕁麻疹がよく起こる人の他にも、花粉症などのアレルギー性鼻炎がある方、またアトピー皮膚炎の既往がある人は、皮膚科での検査をお勧めします。検査結果に応じて、疾患とどのように向き合えばいいのか、また、スキンケア等を含めたアドバイスを皮膚科医が行います。
皮膚疾患でお悩みの方は、この機会に自分の体のことを気遣ってみませんか。ぜひ、目黒駅直結、アトレ目黒内にある「あいおいクリニック目黒医院皮膚科」を受診して下さいね。
日付: 2017年10月23日 カテゴリ:皮膚科